
Amazonといえば、
- ネット通販
- Kindle
- Fire TV
- Alexa
など、数々のヒット商品やサービスを生み出してきた誰もが知る世界的企業です。
そんなAmazonが2014年に満を持して発売したスマートフォンが「Fire Phone」でした。
しかし結果は大失敗。
発売からわずか1年ほどで販売終了となり、Amazonはスマホ市場から事実上撤退することになります。
なぜ巨大企業Amazonですらスマホ市場で成功できなかったのでしょうか。
今回はAmazonが開発したスマホ、Fire Phoneの失敗を解説していきます。
Fire Phoneとは?
Fire Phoneは2014年6月に発表されたAmazon初のスマートフォンです。
当時のスマホ市場は、
- iPhone 5s(Apple社)
- Galaxy S5(Samsung社)
が圧倒的な人気を誇っていました。
そんな中、Amazonは独自のスマホで市場参入を目指しました。
主なスペックは以下の通りです。
- Snapdragon 800
- RAM 2GB
- 4.7インチ液晶
- 1300万画素カメラ
- Fire OS搭載
……あまり悪いようには見えませんよね。
それもそのはず、このスペックは当時としては決して悪いものではありませんでした。
真の問題は性能以外の部分にあったんです。
なぜ期待されたのか?
Fire Phoneは発表当初、多くのメディアやユーザーから注目を集めました。
理由はAmazonが過去に成功を収めていたからです。
Kindleの成功

Amazon Kindleは電子書籍市場を大きく変えました。
紙の本しか読まなかった人々にも電子書籍を広めることに成功しています。
Fireタブレットの成功

低価格で高性能なFireタブレットは大ヒット商品となりました。
(※画像は現在発売中のもの)
Amazon経済圏の強さ
Amazonには、
- Prime Video
- Kindle
- Audible
- Amazonショッピング
などの強力なサービスがあります。
そのため、
「Amazonならスマホも成功するだろう」
と考える人が少なくありませんでした。

どれくらい売れなかったのか?
莫大な資本に、悪く無いスペック、成功の実績……
後押しするものはあれど、不安材料はないようにみえます。
しかし実際は……
| 機種 | 販売台数 |
|---|---|
| Fire Phone | 3.5万台(発売後一ヶ月) |
| Galaxy S5 | 1200万台(発売後三ヶ月) |
| iPhone 6 | 1000万台超(発売後初週) |
発売当時のライバル機種と比較すると、その差は圧倒的でした。(※表は推定)
一月あたりに直すと、
| 機種 | 一月あたり販売台数 |
|---|---|
| Fire Phone | 3.5万台 |
| Galaxy S5 | 400万台 |
| iPhone 6 | 4300万台超 |
(※あくまでも単純計算)
Galaxyの0.875%
iPhoneの0.081%の販売台数!
文字通り桁違いでした。
Amazonという巨大企業が参入しても、
スマホ市場の壁は非常に高かったことが分かります。
ではFire Phoneはなぜ失敗し、どうしてこのような結果に終わったのでしょうか。
理由① 価格設定が強気すぎた
Fire Phone最大の失敗は価格です。
発売当時、Fire PhoneはiPhoneとほぼ同等の価格帯で販売されました。
しかし消費者から見れば、
- 実績のあるiPhone
- 初参入のAmazonスマホ
という比較になります。
多くの人は安心感のあるiPhoneを選びました。
後にAmazonは大幅値下げを実施しますが、時すでに遅しでした。
| 機種 | 発売年 | 契約あり価格(米国) | SIMフリー価格 |
|---|---|---|---|
| Amazon Fire Phone (32GB) | 2014年 | $199 | $649 |
| iPhone 5s (16GB) | 2013年 | $199 | $649 |
| Galaxy S5 | 2014年 | $199前後 | $649前後 |
| HTC One (M8) | 2014年 | $199前後 | $649前後 |
| LG G3 | 2014年 | $199前後 | $599~649前後 |
理由② AndroidなのにGoogle Playが使えない
Fire PhoneはAndroidベースのOSを採用していました。
しかし、
Google Playストアも利用できませんでした。
え?じゃあどうやってアプリをインストールするの?と思いますよね。
代わりに採用されたのが、Amazon独自のアプリストアでした。
その結果、
- 利用できるアプリが少ない
- 人気アプリが配信されていない
- 更新が遅い
といった問題が発生しました。
自社サービスでの囲い込みを試みた結果、不満が続出したわけです。
スマホにおいてアプリは生命線ともいえます。
この欠点はあまりに致命的でした。
理由③ Dynamic Perspectiveが実用的ではなかった
Fire Phone最大の売りは、
「Dynamic Perspective」
という独自機能でした。
前面に搭載された複数のカメラで顔の位置を認識し、スマホを傾けると画面が立体的に動くという機能です。
確かに技術的には面白いものでした。
しかし、
「毎日使いたい便利機能か?」
と聞かれると微妙でした。
ガジェット業界では「面白い機能」と「便利な機能」は必ずしも一致しません。
この機能は意欲的な試みでしたが、前者に偏ってしまったのです。
理由④ Amazon色が強すぎた
Fire Phoneには、
「Amazonの商品を買いやすくする」
という思想が色濃く反映されていました。
代表的なのがFirefly機能です。
カメラを商品に向けるだけで、
- 本
- CD
- 家電
などを認識し、Amazonで購入できる機能でした。
現在なら便利に感じるかもしれませんが、
Fire Phoneは「Amazonが作ったスマホ」というより「ただのAmazonの買い物端末」
という印象を与えてしまいました。
当時のライバル機種と比較してみる
Fire Phoneが苦戦した理由は、競合機種と比較するとより明確になります。
| 項目 | Fire Phone | iPhone 5s | Galaxy S5 |
|---|---|---|---|
| 発売年 | 2014年 | 2013年 | 2014年 |
| CPU | Snapdragon 800 | Apple A7 | Snapdragon 801 |
| RAM | 2GB | 1GB | 2GB |
| ディスプレイ | 4.7インチ | 4.0インチ | 5.1インチ |
| アプリストア | Amazon Appstore | App Store | Google Play |
| 独自機能 | Dynamic Perspective | Touch ID | 防水・高性能カメラ |
| 市場評価 | 不評 | 高評価 | 高評価 |
スペックだけ見れば極端に劣っていたわけではありません。
しかし、
実績が無く、実用性が低い機能が付属し、値段だけが他社スマホと肩を並べている。
そんなスマホを買う人は少なかったのです。
現在から見るFire Phone
今振り返ると、Fire Phoneは完全な失敗作とは言えません。
例えば、
- 商品認識機能
- AR(拡張現実)的なUI
- 独自エコシステム
などは、現在のスマホにも通じるアイデアでした。
むしろ時代を先取りしすぎていた部分もあります。
しかし、
ユーザーが本当に求めているものとのズレが大きかったのです。
Fire Phoneから学べること
Fire Phoneの失敗は、
「巨大企業でも失敗する」
ということを教えてくれます。
優れた技術や豊富な資金があっても、ユーザーが求める価値を提供できなければ成功は難しいのです。
特にスマホ市場のような成熟市場では、独自性だけでは勝てないことをFire Phoneは証明しました。
まとめ
今回は大企業Amazonが開発したにもかかわらず失敗したスマホ、Fire Phoneについて解説しました。
失敗の理由は、
- 高すぎる価格
- Google Play非対応
- 実用性に乏しい独自機能
- Amazon色の強すぎる設計
にありました。
しかし、その挑戦は決して無駄ではありませんでした。
Fire Phoneは今でも、「なぜ失敗したのかを学べるガジェット」として語り継がれています。
ガジェット史において非常に興味深い一台と言えるでしょう。
以下は参考リンクです。
最終更新日:2026年6月


コメント