※本記事の企業情報・数値は2026年9月1日時点です。Brave groupは非上場企業であり、公開情報には限界があります。確認事実、会社方針、記事独自の仮説を分けて記載します。

前編で、ずいぶん会社が増えたわね。

人気IPも技術会社も集めたな。

なら、利益も大きいんでしょ?

2025年9月期は、約17億円の赤字だぜ。

話が逆じゃない!
ところが、その約七か月後にBrave groupはシリーズEで80億円超を調達しました。創業以来の累計調達額は約140億円です。赤字が続く会社へ、なぜ投資家と銀行はこれほどの資金を出したのでしょうか。
後編では、Brave groupが何を売り、調達資金を何へ使い、どの条件なら多ブランド経営が利益へ変わるのかを確認します。
Brave groupには三つの事業がある
会社は現在の事業を、IP Production、IP Platform、IP Solutionの三領域に分けています。言葉だけでは似て見えるため、「誰が何へ払うか」で整理しましょう。

配信して、商品を売って、裏方もするのね。
IP Productionの顧客は、動画を見る視聴者だけではありません。メンバーシップ、ライブ、楽曲、デジタル商品、企業案件など、人気を複数の売上へ変えます。ぶいすぽっ!、RIOT MUSIC、HIMEHINA、Neo-Porte、海外プロジェクトがこの入口です。
IP Platformは、作った人気を購入へつなぐ道路です。公式・ライセンス商品を扱うEC、海外向け販売、1対1のファンコミュニケーション、グッズやトレーディングカードなどが含まれます。他社IPも利用できれば、自社タレントの人気だけに依存しない収入になります。

人気を作る会社から、売り場も持つ会社へ?
IP Solutionは、映像・XR・システムを作る機能です。グループの配信やライブを支えるだけならコスト部門ですが、外部企業へ受託販売できれば売上源になります。

三事業が互いに客を運べれば強いな。
そこまでは正しいです。ただし、会社は領域別の売上高や利益を公表していません。三事業が好循環を作っているのか、まだ人と設備を抱える先行投資段階なのかは、外部から数字で確定できません。
多ブランドを残すことは、分散か重複か

Brave groupは、買収したブランドを一つの名称へ統一していません。ぶいすぽっ!はゲームとeスポーツ、RIOT MUSICとHIMEHINAは音楽、Neo-Porteはストリーマー文化との接続というように、入口が異なります。

一人が休んでも、別のブランドがあるわ。
収益源を分散できる利点はあります。違う文化を持つブランド同士なら、同じ流行や視聴者層へ完全には依存しません。M&Aによって、育成に数年かかるIPを一度にグループへ加えることもできます。
反対に、各社が経理、人事、営業、制作設備を別々に持てば重複費用が増えます。本社が強く統一すれば意思決定は速くなりますが、ブランド固有の運営文化やタレントとの関係を壊しかねません。

共有しすぎても、しなさすぎても駄目か。
M&Aの成功は「何社入ったか」ではなく、ブランドの裁量を守りながら、管理・制作・販売・海外展開をどこまで共通化できたかで決まります。
11件の経営統合――買って終わりではない
Brave group公式サイトは、累計11件の経営統合を掲げています。VTuberブランドだけでなく、ファンクラブ・システム開発のGeek Hive、EC・デジタル事業のSmarprise、XR・3DCGのD1-Labなども対象です。
2025年にはNeo-Porte、韓国のStelLiveが加わりました。StelLiveは2025年9月時点で所属10人、YouTube総登録者数210万人超、韓国の配信サービスCHZZKでも合計170万人超のフォロワーを持つと会社は説明しています。


まだ買い続けるの?
会社はシリーズEの資金使途にも戦略的M&A・提携を挙げています。一方で、あおぎり高校やPalette Projectは他社へ事業譲渡し、超銀河レコードなどは外部資金を得て独立しました。
つまりBrave groupは、すべてを永久保有する倉庫ではありません。統合後に成長余地とグループ内の役割を見直し、保有、譲渡、独立を選ぶ資本配分会社へ近づいています。

手放す判断も、最初から必要なのね。

撤退も経営能力の一部だな。
はい。ただし売却価格や投資回収額は公表されていない例が多く、資本配分が成果を出したかは判断できません。「整理できた」ことと「利益を得た」ことは分ける必要があります。
海外拠点を先に作る理由
Brave groupは2023年に米国と欧州、タイ、同年末に中国、2025年に韓国へ法人を設けました。英語圏のV4Miraiやidol、タイ語圏のAStars、中国向けプロジェクト、韓国のStelLiveなど、現地市場へ入口を作っています。

日本の配信へ字幕を付ければ安いのに。
翻訳だけでは、現地の視聴時間、流行するゲーム、決済方法、イベント文化、配送事情へ十分に対応できません。現地タレントと運営会社を持てば、その地域に合うIPを作れます。
ただし法人を先に作ると、売上が育つ前から人件費、法務、会計、オフィス、マーケティング費が発生します。現地グッズ販売も、在庫、輸送、関税、為替の影響を受けます。
海外拠点は将来の選択肢であると同時に、期限のある投資です。何年でどの地域を黒字化するのか、会社が地域別KPIを開示しなければ外部から進捗を評価しにくい点が残ります。

海外人気より、海外売上を見たいな。
人気があるのに、なぜ約17億円の赤字なのか
決算公告によると、Brave group単体の純損失は2023年9月期が約8.85億円、2024年9月期が約21.56億円、2025年9月期が約17.32億円でした。直近は縮小しましたが、三期連続で大きな赤字です。

二年で合計38億円以上……。
大きな額です。ただし、この数字だけから「ぶいすぽっ!が赤字」「M&Aだけが原因」とは言えません。公開されているのは親会社単体の公告で、グループ連結の売上高、営業利益、事業別利益、営業キャッシュフローは示されていないからです。
子会社からの配当や管理料、投資評価、買収関連費、本社人員、海外準備費などが親会社損益へどう入ったかも、公告だけでは分かりません。会社全体の人気と、親会社単体の純利益を一対一で結ぶのは危険です。

黒字だとも、危険だとも断定できないのか。
正確には「赤字という事実は重いが、原因を分解する情報が足りない」です。2025年9月期の総資産は約66.28億円と、前期の約41.93億円から増えました。しかし資産増加が現預金、投資、買収資産のどれなのかも公告の要約だけでは確定できません。
三年連続の減資は、現金流出ではない
Brave groupは2024年から2026年にかけ、三年連続で資本金・資本準備金の減少を公告しました。2026年8月の公告では、資本金を13億円、資本準備金を4.5億円減らすとしています。

17億円を会社から出したの?
ここは言い直しましょう。減資は、貸借対照表の資本金や資本準備金を別の資本項目へ振り替える手続きで、同額の現金を株主へ返したとは限りません。累積損失の処理、税務上の区分、将来の資本政策などが目的になり得ます。
したがって「13億円減資したから現金が13億円消えた」ではありません。ただし大きな損失が続く企業で繰り返されている以上、資本構成を整え直す必要が生じている事実として見るべきです。

現金残高は別に確かめる必要があるわけだ。
赤字でも80億円を調達できた理由

シリーズEには、16社の出資者と3社の融資元が参加しました。会社が示した使途は、海外IPのローカライズとマーケティング、既存IPの多角化、配信・XR技術とスタジオ、M&A・提携です。

80億円集まったなら、安心ね。

売上ではなく、預かった成長資金だぜ。
その区別が大切です。増資部分は返済期限がない代わりに、既存株主の持分を薄めます。融資部分には返済と利息があります。調達成功は投資家が将来価値を認めた証拠ですが、現在の採算を証明するものではありません。
投資家が見ているのは、ぶいすぽっ!だけではなく、日本のIPを海外へ広げる拠点網、複数ブランド、EC、制作技術、さらに次のM&Aを実行できる会社基盤でしょう。これらが結び付けば、一つのIPを買うより大きな価値になります。

でも失敗したら、赤字を延ばすだけね。
はい。年間損失と同じ速度で単純計算することはできませんが、黒字化が遅れるほど次の調達条件は厳しくなります。80億円はゴールではなく、収益モデルを証明するための時間を買った資金です。
カバー・ANYCOLORとの比較で見える違い
カバーとANYCOLORは上場企業で、売上、営業利益、事業別売上、キャッシュフロー、株式数を定期開示します。Brave groupは非上場であり、同じ物差しを当てること自体に限界があります。

Brave groupだけ、利益の証明がこれからだな。
一方でBrave groupには、カバー・ANYCOLORが簡単には再現できない選択肢があります。異なるブランドを買収し、必要な機能を付け、成長後に独立や売却を選ぶポートフォリオ経営です。
成功すれば「所属人数を増やす事務所」ではなく、「IPを育てる共通基盤」になります。失敗すれば、ブランド間のつながりが薄いまま本社費と買収費だけが積み上がるコングロマリット・ディスカウントを招きます。

ブランド一覧だけじゃ、答えは出ないのね。
Brave groupの弱点は、タレント依存だけではない
- 統合リスク:会社ごとの制度、文化、経営速度をそろえる負担。
- ブランド管理:本社介入が強すぎれば、ファンが支持した個性を損なう。
- 人への依存:人気タレントの休止・卒業、運営との方針不一致。
- 海外固定費:現地売上が育つ前から管理費が発生する。
- 資金調達:赤字が長期化すれば、希薄化や金利負担が増える。
- 開示不足:投資家が事業別採算を判断しにくい。

人気だけ見ても、会社は分からないのね。
前編で見たゲーム部プロジェクトの経験も消えません。タレントやブランドの裁量を尊重しながら、企業として労務、契約、法務、情報管理を徹底する必要があります。ブランドが増えるほど、一件の問題がグループ全体の信用へ波及する可能性も高まります。
ここから先は、公開資料から考える大胆な未来
ここからは公開資料を材料にした記事独自の仮説です。会社が公表した計画や業績予想ではなく、実現を保証するものでもありません。
仮説1 ぶいすぽっ!が世界的なゲームIPになる
国内の人気、英語圏・中国語圏への展開、eスポーツとの相性を組み合わせる仮説です。現地タレントが定着し、大会、スポンサー、グッズへ支出が広がれば、国内配信人気を超える柱になり得ます。
壊れる条件:海外で日本版の模倣にとどまること。観測点:海外所属人数、現地イベント規模、海外EC、スポンサー契約です。
仮説2 共通EC・物流が他社IPにも使われる
colleizeやBrave stores、Smarpriseの機能を、自社グループ以外へ広げる未来です。販売量が増えれば、物流・システム費を多くの商品で分担できます。
壊れる条件:在庫と配送費が膨らみ、単なる低利益の物販になること。観測点:外部IP取扱数、リピート購入、海外配送地域です。
仮説3 Xross Starsが反復収益の柱になる
複数の人気ストリーマー・VTuberを横断するカードゲームは、ブランド群を持つBrave groupらしい商品です。新弾、大会、店舗コミュニティが続けば、記念グッズより反復性の高い売上になります。
壊れる条件:初動の収集需要だけでプレイヤーが定着しないこと。観測点:新弾間隔、大会参加者、取扱店舗、再販です。
仮説4 制作機能が外部IPの裏方になる
XR、3DCG、アニメ、システム開発を外販し、他社のVTuberやコンテンツまで支える仮説です。自社IPの変動を、受託収入で補える可能性があります。
壊れる条件:人月型の低利益受託にとどまること。観測点:外部案件比率、継続契約、自社ツールの利用社数です。
仮説5 育てた会社を独立・部分売却する
超銀河レコードのように、外部資金を受け入れて独立させ、Brave groupは株主・支援者として関わるモデルです。資金負担を分けながら、成功時の価値を一部残せます。
壊れる条件:有望事業だけが外へ出て、親会社に収益が残らないこと。観測点:持分、売却益、業務契約、独立後の資本関係です。
仮説6 黒字化と開示整備を経て上場する
大型調達、監査・統治体制の整備、多数の機関投資家との関係は、将来のIPOと相性があります。ただし会社は本記事の基準日時点で上場計画や時期を確約していません。
壊れる条件:連結赤字の長期化、統合失敗、市況悪化。観測点:連結数値の開示、監査体制、黒字化方針、上場準備に関する公式発表です。
三つのシナリオでBrave groupを見る
非上場会社で売上高と連結損益が開示されていないため、根拠の薄い三年間の売上予想は作りません。代わりに、次の開示でどのシナリオが強まるかを確認します。
- 単体純損失:17.32億円から継続して縮小するか。
- 連結数値:売上、営業利益、営業CFを開示するか。
- 海外KPI:地域別の所属、イベント、EC、黒字化時期。
- Platform外販:他社IPの取扱数と継続利用。
- M&A後の動き:統合、独立、譲渡の投資回収。
- 追加調達:株式と融資の割合、資金使途、次回条件。

次は人気より、連結利益を見たいな。
Brave groupは、VTuber事務所というより、IPを作り、買い、売り、海外へ運び、制作と販売で支える企業群になりました。カバー・ANYCOLORとは異なる成長経路であり、成功すれば日本のIPを束ねる共通基盤になれます。
しかし、約140億円の累計調達額は、その価値が完成した証明ではありません。複数の人気IPが、事業別利益と現金へ変わることを示して初めて、多ブランド経営の強さが確認できます。

80億円は安心券じゃなく、宿題代ね。

雑だが、今回は合格だぜ。
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主な参考資料
- Brave group「Business」
- Brave group採用サイト「各社事業」
- Brave group「会社概要・沿革」
- Brave group「シリーズEで80億円超を調達」
- Brave group「Brave global capital」
- gamebiz「2025年9月期決算公告・減資」
- ITmedia NEWS「2024年9月期決算公告」
※本記事は公開資料を基に、企業の歴史と経営上の出来事を分かりやすく整理したものです。人物・組織への評価は、確認できる事実と分析を区別して記載しています。
※Brave groupは非上場企業です。純損失等は親会社単体の決算公告に基づき、グループ連結の売上高・利益・キャッシュフローを示すものではありません。将来シナリオは公開資料を材料にした独自の考察であり、会社の計画や業績予想ではありません。本記事は特定の金融商品の売買を勧める投資助言ではありません。
※本記事は「東方Project」の二次創作です。キャラクター原作:上海アリス幻樂団/立ち絵素材:うさ義式(うさ義様)/本記事は対象企業および東方Project公式とは関係ありません。


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